2021/06/13 クリニック
新型コロナワクチンQ&A
接種間隔が開いたら? 妊娠中の接種は? etc
新型コロナワクチンの接種も佳境に入ってきました。すでにかなりの接種を行ってきた中でよく聞かれる質問や、今後聞かれる可能性のある質問へのお答えを用意いたしましたので、参考にして見てください。
Q1 接種当日の生活での注意は?
観察時間は過ぎても、仕事等でやむを得ない方を除き、外出は控えて自宅で安静にして過ごしてください。
体調に問題ない限り入浴も、普段の晩酌程度のアルコールもかまいません。
Q2 接種後どの程度の時間で副作用が出るのでしょうか?
接種の数時間後くらいからだんだん接種部の鈍痛が始まることが多く、翌日はしばしば「痛くて腕をあげにくい、寝返りしにくい」「不用意にドアなどに触れるとウッと痛む」ようになります。でも2日後には改善傾向になり数日後にはだんだん気にならなくなります。
発熱は接種後12~24時間後(当日夜から翌日昼間)に見られることが多く、微熱や倦怠感程度で済む方から、38℃台になり1~2回解熱剤の服用を要する方まで個人差があります。通常半日程度で下がり、2日後以降体調は普通に戻ってきます。
接種部とはなれた特定の関節(手首、腰など)の痛みが生じる場合もあるようです。熱はなくても、必要があれば解熱鎮痛剤を服用してかまいません。数日中にだんだん改善します。
Q3 解熱鎮痛剤は何を使ってもよいですか?
市販薬でも処方薬でも使用は可能です。ご心配な方は、受診時にかかりつけ医に確認しておく、かかりつけ薬局に問い合わせる、または当クリニックにお問い合わせいただければ、おてもとの薬の種類や使い方についてご説明いたします。
一般的にはアセトアミノフェンという成分の薬(カロナール他)が最も安全で広く用いられます。当院で接種される方で希望される方には、窓口で少額でお分けしています。
一部で「症状が出る前に予防的に服用する」と言われることがあるようですが、一般的に推奨はされていません。基本的に症状に応じて、必要な時に使用してください。
関節の痛み等で「非ステロイド系抗炎症薬」(ロキソニン、ボルタレン、セレコックスなど)を常時服用されている方は、ワクチンによる熱や痛みも一緒に緩和されます。もし服用中にもかかわらず、はっきりした熱が出た際には、定時の服薬から少なくとも2~3時間空ければアセトアミノフェン製剤を追加服用することはできます。
なお、ワクチンからの発熱は半日から1日で下がってきます。もし翌日以降も熱が続く場合には、発熱の原因がワクチン以外の可能性もありますので、かかりつけ医等を受診してください。
Q4 接種間隔が開いたら効果に影響が出ますか?
現在上田市ではファイザー社のワクチンだけが用いられており、通常3週間後に2回目の接種が自動的に予約されるようになっています。けれども、体調不良や都合により予定を変更した場合など、間隔が空いてしまうことがあります。また他市町村で、2回目の接種が別途予約のためにさらに間隔が開いてしまうこともあるようです。
その場合、「3週間を過ぎたら速やかに接種」を原則としつつ、空きのある接種会場を探すなどして、可能な限り先延ばしはしないで予約を取るようにしてください。
ただし複数の回数を要する他のワクチン一般に言えることですが、規定の間隔から期間が少し開いたくらいで大きく効果が減弱する、というものではありません。まずは2回の接種をきちんと受けていただければ大丈夫と思ってください。
Q5 妊娠中に接種は可能ですか?
統計上、妊娠中の女性は非妊娠女性に比べて重症化率、帝王切開率、早産率が高いとの報告が出ています。一方でワクチンの影響についてはまだデータの集積期間が短く限られてはいるものの、安全性についての証拠は増えつつあります。また妊娠後期の接種により母親にできた抗体が胎児に移行する、母乳中にも抗体が存在することが確認され、それが新生児の感染の予防に繋がる可能性が期待されています。以上の点を踏まえて、日本産婦人科学会から以下のような提言が出されています。
「これまでにデータの集積から、母体や胎児に対して短期的な影響については問題ない。感染拡大の状況や、一部の妊婦で重症化の報告もあり、接種を希望する妊婦への接種を推奨する、ないしためらうべきではない。ただし器官形成期である妊娠12週までは、偶発的な胎児異常の発生との識別に混乱を招く恐れがあるため、接種を避けていただくように。(もし接種後に妊娠していたことがわかった場合も、ワクチン接種が妊娠に悪影響を及ぼすという報告はありません。)」
Q6 授乳中の接種は大丈夫ですか?
ワクチンの成分そのものは乳腺の組織や母乳に出てくることはないので、普通に接種していただいて問題はありません。一方で授乳中にmRNAワクチンを受けた方の母乳中に新型コロナウイルスに対する抗体が確認され、授乳中の子供を感染から守る効果があることが期待されています。
Q7 若い人、特に子どもへのワクチン接種は必要ですか?
令和3年6月1日付で、日本でもファイザー社のワクチンについて12歳以上の子どもへの接種が承認されました。現在すでに海外では生後6ヶ月から11歳を対象とした臨床試験も実施されていますので、いずれさらに低年齢の子どもへの適応が拡大される可能性があります。現在18歳以上に承認されているモデルナ社のワクチンについても、同様に12歳以上、生後半年以上についての臨床試験が実施されていますので、追って同様に拡大される可能性があります。
最近の変異株の流行により子どものコロナウイルス感染例も以前に比べてクラスターも含めて増加してきていますが、引き続き熱がないかあっても軽症例が多く、個人予防的な観点での接種の必要性は必ずしも高くはありません。けれども今後成人でのワクチンの普及も含めてコロナウイルスの流行が収束傾向に向かうとしても、集団生活を送る子どもたちに免疫がなければ、最後はインフルエンザのように、保育園や学校の集団の中での流行が主体になり、そこから周囲の家族への感染、ひいては高齢者等の感染〜重症化などの形で続いていく可能性が高いと思われます。最近の傾向として活動範囲の広い高校生のクラスター発生が増えていることもあり、今後の流行の再拡大を防ぐために当面少なくとも高校生~中学生までは、個人的にはぜひ接種を広げて欲しいと考えています。