2023/01/03 クリニック
2023 年頭にあたっての所感
コロナに始まりコロナに終わった2022年、そして2023年は…
新年あけましておめでとうございます。第6波とともに始まった2022年は、第8波のピークの最中に年末を迎えました。行動制限が緩和に向かう中、少しでも多くの方々がご家族と穏やかな新年を迎えられたことを願っております。
2022年、夏の第7波では子どもを中心に感染が拡大し、全国的に外来診療が逼迫しました。しかし秋から始まった第8波はそれをさらに大きく上回る数の感染者が発生し、年末まで勢いが衰えずに続いています。医療供給体制の強化どころか、医療機関でのクラスターの多発や職員の感染や濃厚接触による医療供給体制のキャパシティの低下が全国に広がり、死亡者数も既に第7波を超える日が続いています。感染者数は20万人を超えたところで頭打ちになっていますが、これはキャパシティの上限を示しているだけで、低下した死亡率から推定される患者数は統計上の感染者数よりずっと多いと思われます。しかしコロナに関する報道の内容は5類への位置付けの格下げや行動制限を含む感染対策の緩和ばかりで、世情は誰もがこれで仕方ないと現状を容認するムードになっており、医療現場の逼迫の緊張感が共有されないもどかしさを感じています。
以下は2022年の第6波(1〜6月)、第7波(7〜9月)、第8波(10〜12月)の検査実施件数と陽性者数、陽性率です。第8波の検査件数は同じ3ヶ月で第7波より91件多いだけであまり変わりませんが、これは当クリニックでどんなに頑張っても対応できるのが1日30〜40件というキャパシティの限界を示しています。同じ検査数で陽性者数は1.8倍近くに上り、陽性率もずっと高率でした。陽性者が増えた分だけ対応に要する時間も増えるため、スタッフ全員が息をつく暇もない日々が続きました。受け入れを断らざるをえなかった方の数も第7波よりはるかに多く、肌で感じる波の大きさは第7波をはるかに超えていました。このような状況の中で、1300人以上の陽性者の検査を担った看護スタッフから感染者が出ず1年間診療を維持できたことは幸いで、緊張感を維持して仕事に当たって下さったスタッフ一同には心から感謝しています。
1〜6月 実施検査数 1050件 陽性者 207人 陽性率 19.7%
7〜9月 1382件 409人 29.6%
10〜12月 1473件 719人 48.8%
年間合計 3905件 1335人 34.2%
さて、最近受診される患者さんの既往を確認していると、第7波以降に感染歴のある人の数がとても多くなりました。これは裏を返すと、その分だけ集団免疫が成立しつつあることを意味しています。あくまでも私見ではありますが、オミクロン株対応ワクチン接種の拡大と併せて、第8波の収束後には今度こそ感染の波はあっても規模が小さくなり間隔があいていくような状況になるのではないかと期待しています。そして、遠からずコロナウイルス感染症はインフルエンザのように社会的な影響はあるものの季節的な風邪のひとつとなり、感染を広げる小児や重症化リスクのある高齢者へのワクチン接種を中心とした対策だけが継続されていくものと予想しています。今年こそ、コロナのことを過度に意識することなく平常の医療が提供できるような状況になって行くことを願って新年のご挨拶とさせていただきます。