堀こどもクリニック

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2020/09/21 クリニック

新型コロナウイルス感染症アップデート(2020/9/22)他

上田圏域の感染状況がレベル2(注意報)まで引き下げられました

8月28日、上田圏域の感染警戒レベルがレベル4に引き上げられ、「新型コロナウイルス特別警報」が発令されました。その後飲食店及び大学生で発生したクラスターは収束して新規感染者が見られなくなったことから、上田圏域の感染警戒レベルは9/12にレベル3(警報)、さらに9/14にレベル2(注意報)まで引き下げられました。(8/3以来となります。)引き続き換気の不十分な屋内での飲食には十分な注意を払う一方で、爽やかな陽気のもと屋外で体を動かしたり気分転換をはかりましょう。

東京を中心とした新規感染者数は下げ止まりからやや上昇傾向もあり、この連休の人の移動、イベントの人数制限等の緩和、さらに10月からのGo Toトラベルキャンペーンに東京が含まれるようになると、いつ全国的な増加に転じるかわかりません。当クリニックでは、当面警戒を緩めずに対応を継続いたします。

保育園等におけるクラスター発生等の状況

第二波の感染者数増加に伴い、学校や保育園でのクラスター発生が見られるようになりました。小児科としては危機感を持ちながら情報収集を行なっていますが、今のところ感染源は家族や教員、保育士等であり、子ども同士の感染の広がりはないか少なく、クラスターはいずれも短期で収束しています。子ども→子ども→親や職員という二次感染、三次感染といった広がりもほとんど確認されていません。また症状の点でも無症状か軽症で、例外的に9/16に滋賀県で1例保育園児が中等症との報道があったのみです。引き続き子どもの熱発等については、家族の行動歴や体調に問題がない限り、子どもさんがコロナウイルス感染症の発端者である可能性は極めて低いと考えてよいと思われます。

子どもは新型コロナウイルス感染症の感染源になるか?

最近米国マサチューセッツ総合病院のグループから、新型コロナウイルスに感染した小児は、無症状でも保有するウイルス量は極めて多いことが報告されました。こうした小児たちが“サイレント・スプレッダー”(無症状のままウイルスをまき散らす人)として感染を広げる可能性があると指摘しています。(「The Journal of Pediatrics」8月19日オンライン版) 

ウイルス量は、集中治療室(ICU)での治療を必要とする重症の成人患者から検出されたウイルス量を上回り、特に発症後2日間のウイルス量が多かったとのことです。秋の学校再開に対して、体温測定と症状の観察だけでは教師や学校のスタッフの安全が確保できないと考えられ、無作為に抽出した生徒に対する検査の実施やマスクの着用、ソーシャルディスタンシング、手洗い、オンラインと対面を組み合わせた授業の実施などを挙げています。

同様な報告はまだ他に見られないこと、現時点では学校でのクラスターは濃厚接触者の検査や隔離で収束していることから、この結果が実際の感染状況を反映しているとは限りませんが、小児科医としてはとても心配な報告です。

夏かぜの流行はほぼゼロ!

当クリニックでは、例年毎週10~20人くらいは見ている手足口病やヘルパンギーナといった毎年流行する夏かぜを一人も!見ていません。当院も定点となっている国内感染症発生動向調査でも、いずれも定点医療機関あたり1週間に0.5人未満で推移しており、流行のないままシーズンが終了した状況です。例年そろそろ流行の始まっているRSウイルス感染症(乳幼児の気管支炎の主因)も未だに見られません。新型コロナに対する感染防止対策の効果と考えられています。

南半球のインフルエンザ流行状況と今後の予測

このところ秋から冬にかけてインフルエンザと新型コロナの同時流行への懸念が報道されています。しかしWHOの報道によると、6月頃から冬季に入った南半球ではオーストラリア、ニュージーランド、南米、アフリカ南部のいずれの地域でも、インフルエンザの流行がまだ発生していません(WHO influenza 2020-8-17)。

この理由として、南半球では新型コロナが流行しているため、ウイルス同士の干渉現象がおきているという説もありますが、新型コロナ感染者数の極めて少ないニュージーランドやオーストラリアでも流行が見られないことや、前項の夏かぜの流行が全くといってよいほど見られなかったことから、新型コロナの予防対策がインフルエンザの予防に役立っている可能性が高いと思われます。

これが今後秋から冬に向かう北半球でもそのまま当てはまるかどうかはわかりません。でも感染症の流行をもっとも身近で感じる小児科医としては、皆さんが今のままの予防対策を続ければインフルエンザの流行はこれまでになく小規模になる可能性が高いと思います。ただし実際流行が始まってしまえば臨床的に新型コロナとの区別は難しく、診療に大きな支障をきたすことは間違いありません。その混乱を少しでも防ぐために、たとえ流行の予想規模が小さくても、その影響をさらに少しでも減らすためにインフルエンザワクチンを少しでも多くの方に受けていただきたいと思います。

今後の休診予定

10月は休診の予定はありません。次回休日緊急医は11月23日(月/祝日)で、翌24日(火)が代休の予定です。

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