堀こどもクリニック

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2022/07/10 子どもと新型コロナウイルス感染症

小児の新型コロナウイルス感染症アップデート 4 
 当院における第6波の統計と第7波に向けて子どもへのワクチン接種のお願い

小児の新型コロナウイルス感染症に関するアップデート(4)

当院で経験した第6波陽性者207人の統計

前回のアップデート3から1年が経過しました。当時はデルタ株による第波5の最中で、ワクチン接種の進んでいない20〜40代の感染者数が急増し、そこから家族内感染で子どもの感染者数の増加につながっていました。今年に入ってからのオミクロン株による第6波ではさらに感染者の年齢層が低下し、子どもを中心に家族内や保育園、学校での感染拡大が顕著になりました。

当院では、今年1月から続いていた第6波は5月後半から収束し、6月中旬に一旦陽性者ゼロの日が続くようになりました。その間の抗原検査+PCR検査実施数は1000件を超え、陽性者数は207人にのぼりました。デルタ株による第5波の昨年7〜11月の検査数は合計136件、陽性者は僅か3人でしたので、第6波の、特に子どもへの感染拡大は想定外(「年頭の所感」でオミクロン株の懸念に触れましたがそれを遥かに超える)とも言える状況でした。

以下に、年齢別、感染経路別の感染者数の一覧をまとめてみました。

年齢別では、0〜9歳が45.9%、10〜19歳が20.3%と、子どもの感染者が圧倒的多数を占めました。次に多いのが30〜40歳代で、感染経路では職場や不明は少なく、保育園や学校に通っている子どもから親の世代への家庭内感染が約2/3と多くを占めています。昨夏の第5波で外で感染した親から子どもへの家庭内感染が増えたのとは正反対となっていることがわかります。全体でも家庭内感染が52.7%、保育園・学校が24.6%と、これらで大半を占めています。

0〜4歳児に限っても、感染者は15.5%を占め、その中には生後半年未満の乳児も数人含まれています。

幸いなことに、高齢者も含めて中等症以上の患者さんはみられませんでした。

年齢層感染者数家庭内保育園・学校職場県外不明
0〜4歳32 (15.5%)2381
5〜9歳63 (30.4%)2229210
10〜14歳26 (12.6%)17612
15〜19歳16 (7.7%)484
20〜29歳6 (2.9%)33
30〜39歳26 (12.6%)1826
40〜49歳25 (12.1%)16414
50〜59歳5 (2.4%)113
60〜69歳6 (2.9%)33
70歳以上2 (1.0%)2
令和4年1月〜6月の陽性者207人の統計

これまでのコロナの流行を振り返ってみると、高齢者からのワクチンの接種拡大に伴い、コロナウイルスが弱毒化と感染力増強でワクチン未接種のより低い年齢層に順次流行拡大を繰り返しています。現在オミクロン株の中でより感染力の強い株への置き換わりと、人流の増加の影響で、ワクチン接種の進んでいない子どもと、2回接種から期間が経って免疫の低下してきた若年層での感染増加により第7波の流行拡大に突入しかけているように思われます。

軽症化により「インフルエンザ並み」に近づいているとはいえ、そのインフルエンザでも大流行すれば高齢者の超過死亡や子どもの脳炎・脳症の増加につながり、社会的な影響は決して小さくありません。およそ1000万人の人口を占める子どもたちの年齢層でワクチンの接種が進まないと、集団生活を通じた流行が今後も繰り返され、そこを中心に兄弟や親、さらには祖父母へと感染の連鎖が延々と続く恐れがあります。現在5〜11歳の子どもへの接種が開始されて3ヶ月になりますが、接種のスピードはこれまでより遅く、受診された方から「子どもにも受けさせた方が良いでしょうか?」と聞かれることも多く、接種をためらう風潮を感じます。

そのような時には、このようにお答えしています。

大部分の子どもにとって新型コロナウイルス感染症は「インフルエンザ並み」の風邪で、ほぼ前例が無症状か軽症です。一人ひとりの個人予防の観点からみた新型コロナワクチンを受ける恩恵は大きくありません。

一方で、世界で5.5億人以上(日本では間もなく1000万人)が感染し、600万人以上の死者(日本では3万人余り)が出ているパンデミックに対する社会防衛上の観点から見ると、感染またはワクチン接種による免疫が無い(または時間が経って減弱している)人口層を中心とした流行はまだまだ続くと思われます。あれだけ大きな波だった第6波からわずかな期間で第7波に突入しつつある現状を見ても、それは避けられないことでしょう。その中で、流行拡大による社会的な影響を少しでも小さくしながら社会活動を戻していくためには、少しでも多くの人がワクチンによる免疫を持ち、それが減衰しないよう維持していくことは最も重要な対策であり、感染流行の中心となっている子どもたちへの免疫付与は大きな意味を持ちます。

発熱を中心としたコロナワクチンの「副反応」は、確かに他の一般的なワクチンに比べて高い傾向はあります。けれども、5〜11歳用の小児用のコロナワクチンは成分の用量が少ない設定のためか、発熱等の頻度は明らかに少なくなっています。最近は若い世代での心筋炎の報告について取り上げられることも多いですが、発生頻度は極めて稀で、コロナに実際に感染した場合の方が心臓血管系の合併症は高くなりますので、「副反応」を過度に心配しないでください。

以上のことを天秤にかけると、やはり少しでも多くの子どもたちに新型コロナワクチンを接種していただき、社会全体としてパンデミックを乗り切るために協力をしていただけたらと思います。

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