堀こどもクリニック

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2020/08/31 アレルギー科待合室の皆さんへ

ここだけの、花粉症の話! その2

花粉症の第二弾では、妊娠や授乳中の治療、コンタクトレンズと点眼、鼻出血との関連などの情報を追加します。

妊娠中や授乳中でも治療は可能です! 

毎年よく相談を受けるのが、妊娠中や授乳中の治療です。薬を使うのは心配だし、かといって我慢するのは辛いし、妊娠中にくしゃみの拍子にお腹が張ったり痛くなったりすると不安を感じることもあるでしょう。

妊娠中の薬については「治験」という形で安全性を証明することはできません。しかし使用された結果として問題がないかの調査の積み重ねから、アメリカ食品医薬品局(FDA)やオーストラリア医薬品評価委員会から安全性についての評価が公表されています。古くから使われている抗ヒスタミン剤の多くは安全性に問題がないとされますがいずれも眠気が出やすく、眠気の少ない新しい世代の抗ヒスタミン薬の中ではロラタジン(商品名でクラリチン等)、セチリジン(同じくジルテック等)が最も安全性が高いとされています。

授乳中でもロラタジンやセチリジンの他、生後6ヶ月以上の乳児への適応のあるフェキソフェナジン(同じくアレグラ等)やレボセチリジン(同じくザイザル)なども安全に使えると考えられます。一方妊娠中に安全とされる旧世代の抗ヒスタミン薬は、乳幼児には眠気より興奮作用が問題になるので授乳中は一般的には控えた方が良いでしょう。

ところで、花粉症の治療薬は内服薬以外に局所に使う抗アレルギー薬やステロイド薬の点眼薬、ステロイド薬の点鼻薬もあります。これらは吸収される成分は極めて少ないので、妊娠中でも授乳中でも基本的に心配せずに使用できます。

症状の軽い方はうっとうしい時だけ上記の抗ヒスタミン剤を、症状が続く方はステロイド剤の点鼻薬や抗アレルギー剤の点眼薬を継続し、辛い時だけ内服を追加、ひどい症状の方は必要に応じて内服を継続併用する、というのが原則になります。

コンタクトレンズ装着中の点眼液の使用は避けてください 

ごく一部の例外(注)を除き、点眼液には開封後の細菌の繁殖を抑えるための防腐剤として塩化ベンザルコニウムが使用されています。通常は点眼液の成分は長く局所にとどまりませんが、コンタクトレンズを使用しているとレンズにこの塩化ベンザルコニウムが吸着され、結果的に長く角膜と接触することにより角膜上皮障害を起こす可能性があります。したがって、コンタクトレンズを装着した状態での点眼液の使用は原則として避けてください。もしコンタクトレンズ使用中に点眼液を使用する際には、面倒でも必ずレンズを外して点眼し、10分程度間をあけてから再装着してください。一般的には、花粉症シーズンにはコンタクトレンズを装着していてもつい目を拭ったりこすったりする機会が増えたり、レンズ自体に花粉成分が付着して症状に影響する可能性もあり、メガネの使用が勧められます。

(注) 防腐剤を含まないのはアレジオン点眼液が唯一となりますが、割高です。(現在1回使い切りのインタール点眼液UDもありますが、2020年末までに販売中止の予定となりました。)アレジオン点眼液には最近高濃度で1日2回で済む剤型(LX)も発売されていますが、薬価も元の2倍です…

うがいや洗顔(眼)を心がけましょう! 

スギ花粉は他の花粉に比べて、水と接触するとすぐに潰れて内容物(すなわちアレルゲン!)が外に出やすいという特徴があります。そこでスギ花粉が鼻や目や喉の粘膜に付着すると間もなく潰れてアレルゲンが吸収され、症状を誘発しやすいというわけです。ムズムズっとしたかと思うと発作的にくしゃみを連発、続いて鼻水がとめどなく流れ、目をこすりだしたら止まらず、白目がブヨブヨになったり、目の周りまで赤くなったり、喉の奥や耳の奥の届かないところがかゆい!といった症状がよく見られます。外出後はもちろん屋外のスポーツの際などには途中でもうがいや洗顔(眼)を心がけ、付着した花粉成分を少しでも洗い流してください。急な発症時でも冷やすことで発作的な痒みを紛らわせ、掻いたりこすったりしなければその後の悪化を防げます。

下着の外干しは禁物?!

スギ花粉飛散期のピークにはスライドグラス1㎠あたり1日に数百個の花粉が観測されることもあり、外に干した布団や洗濯物に付着する花粉の数たるや…天文学的な数字になってしまいそうですね。当然のことながら、天気予報の洗濯指数と花粉の飛散予報は条件的に一緒ですので、家族に花粉症の人がいると外干しは勧められません。もし布団などを干すならカバーやシーツをかけた状態で干し、そっと外して取り込み、外したカバーやシーツをそのまま洗濯機で洗うようにしましょう。

それでも気持ちよく晴れた日には子供用の小さな衣類くらい気持ちよくお日様に当てて…としたいところですが、実は下着に付着した花粉で外陰部を痒がる、ということがありますのでご注意ください。

マスクやメガネ、ゴーグルなどの利用

インフルエンザの予防にも有効な不織布のマスクは、ウイルスの粒子よりはるかに大きな花粉をブロックするには十二分な性能があります。外出時のマスク着用は必須と思ってください。

マスク周囲の隙間から入り込む花粉の影響も減らしたければ、マスクの中に湿らせたガーゼを挟むのも一法です。付着したスギ花粉の一部がそこで水分に触れて潰れ、中に入り込む花粉を減らすことができます。

普通のメガネでも、正面から入り込む花粉にはコンタクトレンズより少し有利です。目の症状の強い方が長時間の外出や特にスポーツをする際には、花粉症用のゴーグルの使用も考慮してみてはいかがでしょうか。

鼻血がよく出るのは大丈夫?

日頃「鼻血がよく出るのですが、心配ないでしょうか?」というご相談をよく受けます。お母さん方からすると「血が出やすい=出血傾向」を心配されていることが多いのですが、見えている傷を上から押さえ続けてもいつまでも出血が止まらないのが本当の「出血傾向」です。止血の基本は出血部の圧迫ですので、傷の見えない鼻出血に少し鼻を上から押さえたくらいで止まりにくいのは当然です。きちんと止血しているわけではないのに一旦止まれば出血傾向はありませんので、ご心配のないよう。

それより、鼻血を繰り返すのは花粉症を含むアレルギー性鼻炎などで鼻をかんだり、こすったりの刺激が多いことの反映です。背景となる花粉症などの治療で症状が緩和されれば鼻血の機会も減るはずです。

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