堀こどもクリニック

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2020/08/31 小児科待合室の皆さんへ

ノロウイルス、ロタウイルス等の簡易迅速検査が必要ではない理由

この数年、様々なウイルス感染等に対する簡易検査キットが発売され、その中に急性胃腸炎の原因となるノロウイルス、ロタウイルス、アデノウイルスも加わっています。特にノロについては「検査はできますか?」と聞かれることも増えていますが、現在当クリニックではこれら胃腸炎起因ウイルスの簡易検査は積極的には行っていません。(ノロの検査キットは用意していますが) それは以下の理由からです。

  • ノロ、ロタ、アデノ等のいずれのウイルスが原因でも症状は同じで、 予防対策も共通です。もしどれかが陽性であっても 個々の原因ウイルスに対する治療はなく、患者さんにとって何もメリットはありません。もちろんノロだけあるいはロタだけ調べて陰性でもそれ以外のウイルスの感染を否定することはできず、「陰性なら登園/登校可」とする意味もありません。
  • 検査の感度は改良されていますが、常に偽陰性が一定数あり、「ノロウイルス検査が陰性ならノロウイルス感染はない」とは言い切れません。微量のウイルスでも感染するノロでは、むしろ簡易検査が陰性だからと登園/登校すれば、さらに流行の拡大につながる恐れがあります。その一方で、「陽性」を出席停止とするなら「陰性化」するまで休まなければいけないはずですが、実際には元気になっても便中のウイルスの排泄は2~3週間は続くとされ、出席停止の解除の目安に繰返し検査を行う意味もありません。
  • 法律上、食品関係者の方々のノロウイルス感染症の場合には、多量のウイルスがないと陽性にならない簡易検査ではなく、新型コロナウイルス感染症で知名度の高くなった高感度なPCRという遺伝子検査が必要です。検査は自費で、およそ1万円程度かかります。陽性者の職務復帰の際には陰性確認が求められ、結果的に複数回の検査が必要になることもあります。
  • 最近はワクチンの普及とともにロタウイルス胃腸炎は減少し、急な流行はノロウイルス感染症が主になっていますが、どのウイルスが原因であっても吐物や便の取扱いに十分注意して手洗いや次亜塩素酸での消毒を行うことは同じです。

登園/登校についての明確な規定はありませんが、食欲が戻って下痢の回数が減り、日常生活に支障がない状態を待って登園/登校して下さい。そしてしばらくはウイルスの排泄が続くので、オムツの処理や排便後の手洗いはきちんと行いましょう。保育園や学校の先生方には、胃腸炎の流行が始まったら以上の原則を守り、「ノロ/ロタの検査をしてもらってきて下さい」といった簡易検査の結果が判断の根拠になるような言い方は避けていただきたいと思います。

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