堀こどもクリニック

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2020/08/31 子どもと新型コロナウイルス感染症

2歳未満の子どもにマスク着用は不要、むしろ危険!

泣いたり嫌がったりするお子さんにどこまでマスクが必要なのか?
マスクをしないと危険性があるのか?
マスクをすること自体に危険性はないのか?
マスクをつけられないお子さんとの外出時の注意点は?

このような疑問を感じる小児科医からの声に応える形で、これまでに分かった子どもの新型コロナウイルス感染症の特徴を踏まえて、2020年5月25日に子どもへのマスク着用の指針が日本小児科医会から発表されました。
患者さん向けの資料はこちら

子どもの新型コロナウイルス感染症の特徴については、前の記事で詳しくお知らせした通りですので、ここでは乳児のマスク着用で懸念される点やマスクをせずに外出する際の注意点について小児科医会の指針の背景となる説明を要約してみました。

乳児のマスク着用で懸念される点

乳幼児突然死症候群(SIDS)の増加がまず懸念されます。

SIDSの多くは1歳までの乳児で発症しますが、それ以降の報告もあり、2歳までの注意は必要だと考えます。
2歳未満は呼吸機能がまだ未熟です。
息を吸う際にマスクが鼻、口をふさぐと、より大きな吸う力が必要になりますが、呼吸筋の未熟性によって十分な呼吸ができなくなることで低酸素状態になったり、呼吸停止によ る乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスクが高まります。
また、言葉で伝えることがまだ未熟な2歳未満では、息苦しさを感じても伝えられず、周囲の大人もマスクのために表情を読み取りにくくなります。

2歳以上ならマスク着用に問題がない、とは言えません。

特に暑くなる季節は熱中症の心配があります。1日中マスクをしていたらそれ自体が不衛生になり、かぶれ等も増えています。
表情が見えないため健康観察がしにくいので、気分が悪いなど体調不良を言葉で訴えにくい幼児に強要することは望ましくないと考えます。
小学生でも「暑くて嫌だ、気分が悪い」という子どもの訴えを尊重することが大事です。
2才未満のマスクは危険、3才以上も強要はしない、ことが重要です。

マスクをつけられないお子さんと外出する際にできること

マスクはウイルス粒子をブロックすることはできません。
ヒト-ヒト間でのツバ(唾液)による飛沫感染を予防することしかできません。
CDC も「マスクはソーシャル・ディスタンスの代わりにはならない」と注意を呼びかけています。

子どもからの感染はとても少ないのに、呼吸をしているだけの乳幼児からの感染を心配することも非科学的です。
泣いたりおしゃべりしている子どもは、保護者向けにだっこしてあげれば周囲へのエチケ ットとして十分だと考えます。
保護者や周囲の不安が強い場合は、大人の多く集まる人混みを避けることが重要です。 集会などでは、マスクをしていない子どもからの感染の不安を訴える方々のために、小さな子ども連れの保護者専用区画を設けて一般と空間隔離することも良いかもしれません。

「マスク警察」など、マスクをつけずに外出している人に厳しい目を向ける人たちがいる ほか、「2 歳未満の子どもにマスクをつけさせることが危険」と理解している人ばかりでは ありません。
どうしても 2 歳未満の子どもを連れて外出しなければならない親の中には、 「マスクをさせたくはないが、人目が気になる」と後ろめたい気持ちを抱えている人もい ると思います。
そうした場合に、後ろめたさを多少でも和らげられる方法として、人と人が 2m以内に近づくような状況では、

  • ベビーカーのシェード(日よけ)などを出す
  • 抱っこをしている場合は親向きに抱いて他人に顔を向けさせない

などが考えられますが、一番は外では人との距離を保つことです。

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