おもちゃであそぼう!せんせいのWeb magazine
目黒区美術館でのおもちゃのイベントのお知らせ
私の発見した幻の積み木が展示されます!
子どものおもちゃの定番といえば、木の積み木! (残念ながら、今はビデオゲームやカードゲームの時代かもしれませんが…)この夏休みの間、東京都の目黒区美術館で絵本とおもちゃの展覧会が開催されます。会期は、7月5日(土)〜8月24日(日)です。実は、昨年私が発見したネフ社の創立初期に創業者のクルト・ネフ氏がデザインした幻の積み木が急遽展示されることになりました。
○△□えほんのせかい+目黒区美術館トイコレクション 同時開催 クルト・ネフ生誕99年
この展覧会は、絵本と玩具がどのように子どもの成長に関わっているのかを、見て、触れて、子どもたち自身にも体感していただくことを目的に開催されます。会期中は、ボランティアチームのナビゲーターと毎日様々な美術館の所蔵するおもちゃを使って実際に遊ぶことができる「トイプレイコーナー」(10〜17時、先着順、時間交代制)も実施される予定ですので、夏休みのお出かけイベントの候補の一つとして検討して見てください!
詳細は、目黒区美術館の公式ホームページの展覧会情報をご覧ください。(https://mmat.jp/exhibition/archive/2025/20250705-454.html)
同時開催 クルト・ネフ生誕99年 ネフ社の積み木の展示
ネフ社といえば、積み木というよりもはやアート作品と言ってもおかしくない、独創的な積み木の数々で知られています。クルト・ネフさんがデザインした「ネフスピール」、数学者のペア・クラーセンさんがデザインした「ダイヤモンド」「キュービクス」「セラ」、主任デザイナーとなったハイコ・ヒリックさんのデザインした「アークレインボウ」、積み木パーフォーマーとして知られる相沢康夫さんがデザインした「ヴィボ」…挙げればキリがありません。こどもはもちろん、大人も夢中になり、独創的な積み方を競う「パターンコンペ」が開催されたほどです。関心のある方は、木のおもちゃ専門店として全国的に知られている百町森さんの「We love Naef ! (私たちはネフが大好き!)」(https://www.hyakuchomori.co.jp/toy/b/naef/)の記事などご覧になって見てください。
」


私もファンの一人で、自分自身や私の子どもたちだけで遊ぶには勿体ないと思い、クリニックの診察室にも置いて、「診察室まで行けば遊べる特別なおもちゃ」としてたくさんの子どもたちに遊んでもらいました。2011年には相沢康夫さんをお招きして「積み木ショーと好きな積み木で遊ぶイベント」を待合室で開催し、3回のセッションとも満員の盛況となりました。(バーチャルクリニックの記事の写真をご覧ください http://horikodomo-clinic.jp/virtual/667/)

タイトルに「〜 同時開催 クルト・ネフ生誕99年」とあるように、今回の展覧会では2006年に80歳で亡くなられたネフ社の創業者/デザイナー/家具職人のクルト・ネフ氏の業績を偲び、ネフ社の歩みや、貴重なトイコレクションの展示も行われます。
その中には、ネフ氏がデザインし、その大成功がネフ社の発展につながった記念碑的な作品「ネフスピール」の初期モデルが含まれています。展覧会のチラシの2ページ目の下の方に写真が掲載されているのがその初期モデルで、1ページ目に大きく写っているのが現行品です。よく比べてみるとわかるかと思いますが、現行品では45度の切れ込みの角度が初期モデルでは少し浅く、色も現行品は4色ですが、初期モデルは5色です。滅多に目にすることのない大変貴重な資料ですので、もし展覧会に行かれる方はお見逃しのないよう。
私の発見した幻の積み木「Naef Bau Art 526」が、世界で初めて展示されます!
そして、実は…私が入手した積み木が、このネフスピールの初期モデルと一緒にこの展覧会に急遽展示されることになったのです。
昨年秋のこと、閉院後のクリニックの空きスペースに置いた棚を購入したお店のホームページを見ていたら、偶然変わった積み木が目に止まりました。燕尾組とか蟻組という、楔のような木片で木と木をつなぐジョイントの構造をデザインアクセントに利用し、見た目にもカラフルで規則性を保ちながら、組み上げて自由な構成を可能にするという画期的なアイデアの作品でした。添付の説明書に、ネフ社の創業初期に作られた「Naef Bau Art 526」という製品番号の作品との記載がありましたが、そこそこネフには詳しいと思っていた私も見たことも聞いたこともなく、インターネットで調べても、結局何の資料も見つけることができませんでした。2日ほど迷いましたが、極めて珍しい作品の可能性が高いと思い、思い切って購入しました。
詳しい経緯は省きますが、その後ネフ社にいくつもの積み木のデザインが採用され積み木パーフォーマーとしても知られる相沢康夫さん、1970年から日本におけるネフ社の代理店のニキティキ、木とジョイントの専門家である阿部藏之さん、さらにスイスのネフ本社にまで連絡を取って調べた結果、この「Naef Bau Art 526」が1960年頃クルト・ネフさんのデザインで製品化されたものであり、唯一残されていた資料はモノクロ1枚のカタログに掲載された動物らしきものを組み立てた写真(製品名や製品番号の記載なし)だけで、現存するものは他になく、実物を見た人もいない、極めて貴重なものであることが判明しました。そして、ネフ社の主任デザイナーであるハイコ・ヒリックさんからニキティキを通じて目黒区美術館への直接の働きかけの結果、急遽今回の展覧会への出品が決まった次第です。
スイス本国に先駆けてファンの前に姿を現すことになったこの「幻の積み木」、展覧会に足を運ぶことのできる方がいらっしゃいましたら、ぜひ見ていただければと思っています。



